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2010年04月 匠よりお知らせ

債権と貸し倒れの関係 (10/04/03)

 法人の金銭債権について、なかなか回収できないときに貸し倒れとして損金(経費)にしたいと考えられる経営者の方は多いと思います。

しかし、税務上では一定の要件を満たさないと寄付金と認定されるリスクがあります。寄付金は、一定の限度額が決まっておりその限度額以上は損金となりませんので、注意が必要です。

そこで今回は税務上の貸し倒れについて書きます。

税務上の貸し倒れは法人税法基本通達9-6-1~3で以下のように定められています。

1   金銭債権が切り捨てられた場合
  次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられる金額は、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。

(1)  会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられる金額

(2)  法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる金額

(3)  債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額

2   金銭債権の全額が回収不能となった場合
  債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。ただし担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。
  なお、保証債務は現実に履行した後でなければ貸倒れの対象とすることはできません。

3   一定期間取引停止後弁済がない場合等
  次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権(貸付金などは含みません。)について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができます。

(1)  継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
  ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。

(2)  同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合

以上のように貸し倒れには上記の要件との検討が重要となります。

 

*記事に関するお問い合わせはご遠慮下さい。また、判断は自己責任でお願いします。

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