BSやPLなど会社の決算書や財務諸表の読み方や見方
会社を経営していると、金融機関の融資担当者との打ち合わせや、
交流会などで決算書について話題に上がることも多いと思います。
しかし、簿記は今まで縁が無く勉強してこなかったので、何となく会計や経理にはアレルギーがある・・・・・
このような方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は各種経営セミナーの際に評判でしたテキストを基に、
できる限り分かりやすく貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の読み方について記載します。

BSとは、会社の決算書・財務諸表のわかりやすい読み方や見方
---貸借対照表(BS)とは?-------------
まず、貸借対照表のBSとは、Balance Sheetの略です。
この貸借対照表BSの最大の目的は、会社の財産の状態を明らかにすることです。
貸借対照表BSの構成要素は、大きく分けて次の3つです。
1 資産の部・・・・現金や預金、得意先の売掛金(債権)などです。
イメージとして貯金や車や家などの会社がもっている財産と考えてみてください。
2 負債の部・・・・借金や仕入先などへの買掛金などです。ようするに借金です。銀行からの借入以外にも、
クレジットカードや、つけにしている支払といったイメージです。
3 資本の部・・・・会社設立の際に払い込んだ資本金に、これまで獲得した利益(損失)の累積を加味したものです。
要は 資産 - 負債 をひいた残り、つまり、会社の本当の財力です。
この資本の部がマイナスになってしまった状態が、債務超過です。
貸借対照表(BS)が債務超過になってしまった場合には、融資ではマイナスの評価になってしまいますので、
経営者は常にこの資本の部が、債務超過になっていないかどうか気を付ける必要があります。
そしてこの債務超過を解消するための方法としては、
大きく分けて ① 利益を出すのか、あるいは ② 増資するかの二つになります。
中小企業では増資は、その基になる資金確保が難しいので
現実的には利益を出し、しっかり会社に残しておく(内部留保)に努めるのが得策です。
また債務超過以外にも、貸借対照表(BS)の資本の部では自己資本比率も重要です。
入札などの応募要件であったり、融資の要件であったりと様々な場面で確認されますので、
自己資本比率についてはしっかりと確認し、自己資本比率を上げるために努力しましょう。
ちなみに中小企業は自己資本比率30%が一般的な目安です。
(関連記事の詳細はこちらから → 自己資本比率の重要性)
更に貸借対照表(BS)の資本の部では、上記の他にも繰越利益剰余金という重要な項目があります。
この繰越利益剰余金は、過去の利益や赤字の累積であり、ここを読むことで、
その会社の財務的な力、つまり、その会社がこれまでどれだけの利益を
出してきた会社かどうかが分かります。
(会社を設立されてからこれまでの利益の累積は、利益剰余金 で確認できます。)
黒字の会社の貸借対照表(BS)は当然ですが、繰越利益剰余金はプラスとなります。
しかしこれまでずっと赤字の会社の貸借対照表(BS)の繰越利益剰余金の項目はマイナスとなります。
新規で取引する場合に、この資本の部を読むと、その会社の状態や歴史が分かるというのはそのためです。
貸借対照表(BS)の読み方とBSを活用した財務分析
貸借対照表(BS)の分析では、その企業の安全性について読むことが可能になります。
安全性分析の読み方の記事はこちらからご確認下さい。
【 関連記事 】
( 売掛金などの売上債権回転率・売上債権回転期間の計算式 )
( 棚卸商品など在庫回転期間、在庫回転率の計算式と計算方法 )

次は企業の損益状況を示す、損益計算書(PL)の読み方についての説明に移ります。
損益計算書(PL)とは、会社の決算書・財務諸表の読み方
---損益計算書とは?-------------
次に損益計算書・PLの読み方について記載します。
PLとは、Profit and Loss statementの略となります。
損益計算書・PLの最大の目的は、【 会社の経営成績(儲け) 】を明らかにすることです。
そのため、会社が1年間でどれだけの利益をあげたかを各区分に分けて報告することになります。
一般的に次のような項目を上から下のとおりの順番で記載します。
【 損益計算書・PLの形式 】
Ⅰ 売上高・・・・・会社の本業である事業活動で獲得した収入
Ⅱ 売上原価・・・売上高を獲得するために直接かかった材料仕入などの費用
【 売上総利益(粗利益)*1・・会社の販売している「モノ・サービス」の力を表す利益 】
Ⅲ 販売費及び一般管理費・・・売上高を獲得するためにかかった販売費や売上原価以外の費用
その他会社を管理運営するためにかかった費用(販管費ともいわれる)
【 営業利益 *2・・・売上総利益-販売費および一般管理費 → 本業で獲得した利益であり、会社の営業力を表す利益 】
Ⅳ 営業外収益・・・会社の本業以外での活動で獲得した収益
Ⅴ 営業外費用・・・会社の本業以外での活動でかかった費用
【 経常利益*3・・・営業利益+営業外収入-営業外費用 つまり 会社が通常の活動で獲得した利益。会社の正常な状態での稼ぐ力を表す利益 】
Ⅵ 特別利益・・・臨時かつ、巨額に生じた収益
Ⅶ 特別損失・・・臨時かつ、巨額に生じた費用、損失
【 税引前当期純利益*4・・・経常利益+特別利益-特別損失→税金支払前の利益 】
法人税、住民税及び事業税額(つまり税金)
【 当期純利益*5・・・当期において、会社が最終的に獲得した利益 】
~利益というような専門用語が沢山でてきますが、大きくまとめると以下のような性格です。
・・・・損益計算書(PL)の売上総利益(粗利益)とは、売上から原価(仕入)を除いた利益です。通称、あらり と言います。
この売上総利益が多ければ多いほど、仕入に付加価値を付けて売上をあげていることになります。
自分のサービスや商品がどれだけの付加価値があるのかをみるためには
この売上と売上総利益を%にして、同業他社と比較することで
薄利多売なのか、高付加価値な商品・サービスかなどの判断をすることができる重要なものです。
(関連記事:売上総利益(粗利益)の詳細)
営業利益 *2
・・・・営業利益とは、売上総利益から人件費や家賃などの
会社を維持するのに必要な経費を除いた利益です。
本業でいくらの利益を出しているのか示していますので、
金融機関などの融資では、この営業利益がとくに重点的に見られます。
赤字が続いているような会社は、まずはこの営業利益で黒字にする必要があります。
そのための第一歩は、人件費などの販売管理費の見直しです。
販売管理費を見直すことで、利益が出やすい体質になります。
この見直しは、ライバル企業と比較してという話ではなく、
自社での取り組みなので比較的達成しやすい項目です。
そうなれば、見直しをした経費分だけ競合他社と差別化するための投資も行えるので、
最終的には売上増加のための対策など売上総利益の改善も可能になります。
そのためどの企業もまず先に見直しをかけるのは、
この営業利益を計算するうえで
大きな影響がある販売管理費(リストラなど)ということになるというわけです。
(関連記事:営業利益の詳細)
経常利益*3
・・・・経常利益とは、利息、配当金など本業以外の収入と
借入金の利息、保証料などの本業以外の費用を加味した利益をいいます。
(関連記事:経常利益の詳細)
税引前当期純利益*4
・・・・税引前当期純利益とは、突発的な利益や突発的な損失を引いた利益をいいます。
ここは、税金がかかる対象なる利益と覚えていただくと良いです。
当期純利益*5
・・・・これで最後となります。沢山ありましたね。
当期純利益とは、法人税などの税金を除いた最終的な利益です。
上場をしている会社であったり、
第三者(取引先の信用調査)に決算を開示するときにはここを見られます。
このように、会社の財務諸表である損益計算書PLにある利益は、それぞれ内容が違います。
しっかりと損益計算書(PL)の読み方や中身を理解して、
数字に基づく経営 から 黒字経営 を目指しましょう。
これらの力をうまくバランスさせるのが、会計の最終的な役割です。
→ 参考 : 黒字経営のために理解しておくとプラスになる経営指標はこちらから。
貸借対照表(BS) や 損益計算書(PL) など財務諸表を理解することは重要
このように経営者は、会社の財政状態が健全なのかを貸借対照表から読み取り、
会社の損益の状況を損益計算書から読み取って的確な経営判断が求めらます。
決算書 ( 貸借対照表BS + 損益計算書PL ) を理解することはとても重要です。
決算書を読めることの重要性につきましては、
こちらからご確認下さい。
--キャッシュフロー計算書(CF)と資金繰り表--
上記の貸借対照表BSや損益計算書PLに加えて、
キャッシュフロー計算書や、
資金繰り表も会社の経営を支援するための大事な経営資料です。
下記に
キャッシュフロー計算書、資金繰り表についてまとめましたので
お役に立てれば幸いです。
上記外にも経営のお役立ち情報を収録しております。
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【 → 経営お役立ち情報・経営コンサルティング情報館 】
バランスシートなど決算書・財務諸表を活用した経営支援サービス
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