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建設業・建築業の消費税対策|在庫・外注費・インボイス対応

目黒区の税理士は匠税理士事務所>執筆者 税理士 水野智史


匠税理士事務所HPへご訪問ありがとうございます。

建設業支援を担当する税理士の水野です。


【 建設業・建築業における消費税の考え方と 】
【 節税対策やインボイスを説明してほしい。 】

という経営相談のご要望を頂きましたので、

今回はこちらについて取り上げます。


建設業・建築業の消費税の考え方と計算方法

建設業・建築業における消費税の計算方法では、

売上の消費税から、仕入・経費の消費税を差し引く

というだけでは正しい計算・申告ができません。


建設業・建築業は、工事期間が長くなるため、

【未成工事受入金=前受金】と【売上】の区分や、

【前払金】と【外注費・材料費・未成工事支出金】が複雑に絡むため、消費税の判断を誤ると納税額や

資金繰りに大きな影響が出てくることになります。


まず消費税の基本となる考え方は、

【1】預かった消費税

【2】支払った消費税

の差額を納める税金いう事です。


これを、【 原則課税方式=本則課税 】と言います。

建設業・建築業の消費税インボイスのイメージ画像

建設会社が元請先や施主に請求する工事代金には、消費税が含まれています。


一方で、材料仕入、外注費、重機レンタル、燃料費や、工具購入にも消費税が含まれています。


本則課税では、売上にかかる消費税から、

これらの仕入・経費にかかる消費税を控除する事で納税額を計算して税務申告をします。


それでは、建設業の消費税はどこが特殊であり、

【 税務調査 】に備えてどう注意すべきでしょうか?


工事請負契約の売上・前受金の消費税処理

建設業の重要論点は【いつ売上計上するか】です。


消費税では、建設・建築の請負工事について、

物の引渡しを要する契約であれば、

原則、目的物を完成して相手方に引き渡した日が、

【 課税売上時期 =納付すべき消費税 】とします。


物の引渡しを要しない請負契約などでは、

役務の提供が完了した日が基準となります。


これは、入金日・請求日=消費税の計上時期として

判断するのは危険を意味します。


例えば、決算前に一部工事代金を受け取っても、

工事が期末までに完成していなければ、

【 未成工事受入金=前受金 】で処理され、

原則、消費税の課税売上とはなりません。

反対に、工事が完成して引渡しが済んでいれば、

未入金でも、課税売上として認識すべきです。


この判断を誤りで、消費税の申告・納付時期がずれ、

税務調査で指摘される追徴税額の原因になります。


税務調査・追徴税額など税務リスクのイメージ画像

建設業の仕入・外注費・前払金の消費税注意点

また、建設業は外注費の取扱いも注意が必要です。


外注先の支払は、適正な契約・実態に基づくなら、

課税仕入で控除(消費税を減らす)対象になります。


しかし、実態として自社の指揮命令下で働いている、

勤務時間を管理している、材料は会社支給などや、

報酬が日当計算といった場合には、

外注費でなく給与と判断される可能性があります。


給与には消費税がかからないため、

外注費として仕入税額控除していた場合には、

【 消費税の追徴リスク 】が生じます。


外注費・給与の違いやリスクはこちらから【↓】

建設業で外注費と給与の違いとは?


専門分野2.png
【 仕入・外注費・前払金の消費税控除の時期は? 】

前払金・前渡金といった工事代金の前払いでは、

仕入税額控除は行えず、消費税を減らせません。


それは、消費税課税は国内で事業者が事業として

対価を得て行う資産譲渡及び貸付け並びに役務提供に対応して行われ、

【 前払金・前渡金の段階 】は、お金を払っただけで

物の引き渡しや外注先の作業が未完了だからです。


それでは、材料仕入・外注費などの経費は、

どのタイミングで仕入税額控除するのでしょうか?


仕入・外注費などの仕入税額控除のタイミング


工事の納品・引き渡しが完了し売上計上する前に、

先に材料仕入れや外注の方の作業は完了します。


そこで消費税法では、資産の引渡しを受けた日や、下請外注先が役務の提供を完了した日の属する

期間で仕入税額控除対象にする事も認めてます。


根拠規定 消費税法30条

消費税基本通達11-3-1、11-3-5

消費税法はこの未成工事支出金勘定=未完成案件の課税仕入は、原則、資産の引渡しを受けた日や

下請外注先の役務提供完了日の属する課税期間に

仕入税額控除の対象とすることになります。


ただし【未成工事支出金=未完成案件】で経理した課税仕入を請負工事の目的物の引渡しをした日の

属する課税期間の課税仕入れとしているときは、

【継続適用を条件】にその処理が認められます。


また消費税は納付だけでなく、税金が返ってくる

【還付】もありえます。次はこちらを説明します。


建設・建築材料のイメージ画像

建設業・建築業の消費税還付の仕組み

まず消費税の基本となる考え方は、

【1】預かった消費税

【2】支払った消費税

の差額を納める税金いう事です。


しかし、建設業・建築業の特徴として、

請負工事契約完成前に多くの外注費・仕入が生じ、

こちらの消費税を控除し、売上の消費税計上は、

その後の期という事は実務ではよくあります。


【完成までに準備のため先に原価が出る期間】

【1】預かった消費税

【2】支払った消費税

【1】<【2】となります。

つまり、支払った消費税が預かった消費税より 上回っていれば、国に消費税を返してもらうための【 還付申告 】を行います。

【 請負工事が完成した期間 】

工事完成で売上に関する消費税が計上されます。


これは発注主・施工主から預かった消費税であり、

対応する外注費・材料仕入の消費税は上記のように前期に還付してもらってますので、

完成した期は【1】>【2】となります。


このように建設業・建築業は消費税の還付と納付が

交互に生じる事は、長期で大規模な工事を手掛ける会社様ではよく起こりえるのです。


建設業や建築業の工事完成のイメージ画像

例えば、工期8か月で請負金額1億円の大型案件を

原価率70%の内容で請け負いました。


完成前に会社決算となり、原価7,000万に対する

10%である700万の消費税を控除することで、

その期の消費税は通常より700万減少します。


翌期は売上1億の消費税10%=1,000万を計上し、

経費に伴う消費税は、前年度で控除済みですので、

完成期は通常より1,000万消費税が増えるのです。

法人税の利益・課税所得の計算では、

売上と原価を未成工事支出金等で対応させますが、


消費税では法人税と認識の時期が異なり、

別の法律・取り扱いである事が注意点です。


収益・費用など建設業会計の論点はこちら【↓】

建設業会計と一般企業の会計の違いとは?


建設業の消費税インボイス制度の影響・対策

インボイス制度対応は、建設業でも重要ですが、

その考え方は、【 非常にシンプル 】です。


支払相手の請求書にインボイスナンバーがあれば、

自社が支払った消費税の全額を申告時に控除して、税額を減少させることが出来ますが、


相手先の下請業者がインボイス登録してなければ、支払った消費税の一部しか控除できない制度です。


この一部控除できる金額は、下記の通りですが、

段階的に減少していくようになっています。

建設業は数千万~億など一取引金額が大きいため、

控除できない事による影響が大きいのが特徴です。


そのため、外注先・協力先など下請業者の方には、

インボイス登録をお願いしていく流れとなります。


しかし、インボイス登録した下請業者の方は、

免税事業者でなくなり、消費税納税義務が生じます。

期間 控除できる割合
令和5年10月1日〜令和8年9月30日 仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日〜令和10年9月30日 仕入税額相当額の70%
令和10年10月1日〜令和12年9月30日 仕入税額相当額の50%
令和12年10月1日〜令和13年9月30日 仕入税額相当額の30%


下請業者が免税事業者の場合の消費税対応

本則課税で仕入税額控除を受けるためには、

適格請求書、いわゆるインボイスの保存が必要です。


特に建設業・建築業では、工事を一人親方や小規模な協力会社へ外注することが多いため、

取引先がインボイス発行事業者であるかどうかを

随時、確認しておく必要があります。


インボイス登録していない免税事業者の支払いは、

仕入税額控除の制限で税負担に影響します。


もっとも、取引先に一方的に値下げを求めるのは、

関係悪化や法的リスクにつながるため、

両者で納得し合意できる話し合いが求めれます。


建設業は協力会社と信頼関係が基盤なため、


インボイス対応は、単に税負担だけではなく、


外注先の重要性、代替可能性、価格交渉の妥当性、
今後の取引継続を含めて判断することが大切です。

建設業・建設業の外注費と給与の違いイメージ画像

消費税の簡易課税方式による節税対策の検討

消費税の計算方法としては、大きく分けると

【本則課税】【簡易課税】があります。


簡易課税は、基準期間の課税売上高(2年前の売上)が5,000万円以下の事業者が期限内に届出書提出など

一定の手続きにより選択できる制度で、


実際の仕入や経費の消費税を集計するのでなく、

売上の消費税に一定のみなし仕入率を掛けて

仕入税額控除を計算する制度となります。


売上げを卸売業・小売業・製造業等・サービス業等

不動産業(注)及びその他事業の【6つ】に区分し

それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。


【 みなし仕入率 】

第一種事業(卸売業)・・・・・・・・・・90%

第二種事業(小売業)・・・・・・・・・・80%

第三種事業(製造業等)・・・・・・・・70%

第四種事業(その他の事業)・・・・60%

第五種事業(サービス業等)・・・・50%

第六種事業(不動産業)・・・・・・・・40%



簡易課税は事業区分で工事率が変わり、

建設業は基本的に第三種事業で扱われますが、

取引内容で区分が変わるため注意が必要です。


建設業や建築業は、簡易課税の事業区分において、

第三種事業(控除率70%)に該当が一般的ですが、

工事内容等で第四種に該当する場合もあります。


そこで簡易課税を比較検討する場合には、

自社原価率を適正に把握している事が重要になり、

【 実際の原価率 VS みなし控除率 】を比較検討し
消費税額が小さくなる有利な方法を選ぶのです。

消費税有利不利シミュレーションはこちら【↓】

簡易課税・本則課税の有利不利試算と節税対策


簡易課税と本則課税の計算イメージ画像

消費税簡易課税方式選択の注意点とポイント

簡易課税方式は、経理処理が比較的簡単になり、

インボイス保存実務負担も軽くなります。


一方で材料費や外注費が多くて、

実際の課税仕入が大きい建設業者の場合には、

本則課税の方が有利になることもあります。


特に元請工事で外注比率が高い会社や、

資材価格が高騰している工事内容の会社では、

簡易課税方式選択で納税額が増える事もあります。


そのため、簡易課税を選択するかどうかは、

売上規模だけで決めるべきではありません。


材料費、外注費、人件費、利益率、設備投資の予定、

インボイス未登録業者との取引割合などを総合的に見て、シミュレーションの上で判断すべきです。


一度選択すると原則2年間継続適用が必要になり、

目先の事務負担だけでなく、将来の工事受注計画や設備投資計画も踏まえた検討が重要です。


設備投資計画・将来の事業計画の会社打ち合わせのイメージ画像

建設業・建築業の消費税と資金繰りの関係

建設業は資金繰りの関係でも消費税に注意です。


工事代金に含まれる消費税は、会社の利益ではなく、

最終的には納税するために預かっているお金です。

しかし、消費税を運転資金として使ってしまい、

納税時期に資金不足するケースも見受けられます。


特に大型工事代金の入金があった期などは、

消費税の納税額が大きくなりやすいため、

早めに納税資金を把握しておく必要があります。


消費税の滞納への国税当局の対応は非常に厳しく

延滞税・不納付加算など他税目に比べ徹底してます。

これは納税のために預かっているお金だからです。

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建設業・建築業の消費税対策|在庫・外注費・インボイス対応を解説を最後までご覧頂きありがとうございました。


執筆者・文責:税理士 水野智史


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